sayonarayouth

twitter @aokaji_soda

MARVEL’S SPIDER-MANの話。

 待ちに待ったPS4『SPIDER-MAN』をクリアした。サイドコンテンツもメインストーリーと並行して進めたので、やり込み要素と、今後配信される追加コンテンツを残すばかりとなった。このゲームのために作った三連休、ほぼぶっ通しでプレイし続けた。ニューヨークを駆け回る爽快感、一本の映画のような展開、ヴィジュアル的にも楽しいヴィラン達との戦い、絶妙な難易度、ルーティンにならないサブミッション、大好きな一作となったこのゲームについて、今回は綴っていく。バレなしのつもりだけど、独自の裁量でここは明かしても大丈夫だろうという部分には触れていきます。

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記事内の画像は全て俺ちゃんの撮影したSSだ!

『マベスパ』(国内での略称、正式なものがないけどこれでいいかな)が映像として初めて公開されたのは一年前、2017のE3でのことだったと思う。情報はそれ以前から出ていて、バットマンのアクションゲーム、所謂「アーカムシリーズ」を三部作全てプレイしていた僕は、ついにPS4スパイダーマンの本格オープンワールドが楽しめるのだと喜んだ。プレイまでは遠いなぁなんて思いも束の間、気づけばもう発売。

 トレーラーの時点で公表されているキャラクターだけでも、MJ、メイおばさん、マイルズ・モラレス、ノーマン・オズボーン(今回こいつ市長)、キングピン、ミスター・ネガティヴ、エレクトロ、ライノ、ヴァルチャー、スコーピオン。ここにあの人とあの人を加えて、有名処は一通り揃っている次第。実はストーリーも、VSミスター・ネガティヴというシンプルな内容ではなくて、トレーラーには出ていないある人物が大きく関わって大筋が進んでいくこととなる。ピーターがリーの正体に気づく展開なんて、あまりにもあっさりしすぎて拍子抜けしたくらいだ。

 スパイダーマンは普通に好きだ。その名を聞いた誰もが赤と青のコスチュームが浮かぶくらいには知名度があるキャラクターに相応しいくらい、普通に好きだ。ライミ三部作、アメスパ、MCU、映画も一通り何周か観ているし、コミックの方も単体作こそ読んでいないけれど、映画とは違う役割を持つシビル・ウォーなんか手に取った。

 ここ二、三年はMCUだけでなくDCFU、それからFOXと、現行のアメコミものは余すことなく映画館で観ているし、特に気に入ったもののソフトや、気になったコミックなんかも買っている。つまりそれなりにキャラクターの知識やスパイダーマン、アメコミについての知識がある人間である、というのが前提の文章になります。

 

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「このゲームは傑作だ!」とか、「ウェブスイングが楽しい」とか「完成度が高い」とか、その辺はもう数多のレビューがあると思うので、割愛。ストーリー部分も、語ってしまうにはまだまだ時期尚早だと思うので、割愛。

 今回、スパイダーマン/ピーター・パーカーだけじゃなく、メリー・ジェーン・ワトソンとマイルズ・モラレスも操作する場面があり、当然MJとマイルズはスーパーヒーローではないため、一般人の視点としてプレイすることとなる。格闘ができるわけじゃなく、基本的に隠密アクションになるのだけれど、特にマイルズがライノと対峙して、見つからないように逃げ切るシークエンスなんか、「一般人から見たヴィラン」というこれまであまり見かけることのなかった切り口で面白かった。これもまた、プレイヤーとして体感できるというゲーム媒体ならではなのかもしれない。

 トレーラーだとラフトからヴィランズが逃げ出して物語の始まりという風に捉えられなくもないけれど、実際は物語折り返しでの展開であり、ヴァルチャーとかエレクトロとか、そこまでフィーチャーされないんですよね。展開の取捨選択として正しいことに間違いはないんだけど、掘り下げてほしかったな、とは贅沢な欲求。ヴァルチャーの吹き替えが大塚芳忠スコーピオンの吹き替えが中尾隆聖だったので、もっともっと他キャラとの掛け合いを聞きたかった。

 こういうタイプのゲームって、ゲーム的な制約として所謂ザコ敵をどう設定するかって問題があると思うけれど、今作は単になんでもかんでもゴロツキってだけじゃなく、フィスクの手下、デーモン、囚人、セーブル部隊と、ストーリーに合わせて増えていくのも捻りが効いてていいなぁと思った。

 今作はスパイダーマン単体ヒーローの作品だけれども、舞台となるニューヨークにはアベンジャーズ・タワーやワカンダ大使館なんかがあり、別のスーパーヒーローの存在も仄めかされている。「スパイダーマン ホームカミング」のスーツを纏ってアベンジャーズ・タワーの壁に貼り付けば、もう実質MCU。ニクいね。

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もうこれMCUだって、はっきりワカンダね。

 替えのスーツも豊富に用意されていて、個人的に良かったのはビンテージコミック版スーツ。トゥーン調のアニメタッチなスーツを着てNYを飛び回ると、認識のズレなのかなんなのか、不思議と街並みがより実写的に見えて楽しい。背景に浮いているスパイディがいい味を出している。

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 それから、既に何枚か貼っているように、とにかくフォトモードが楽しくて、すぐにポーズを挟んでスクリーンショットを撮ってしまう。「アーカムナイト」でも、1989のバットスーツを着てSSを撮りまくったものだけれど、画像の保存数は圧倒的にマベスパの方が多い。色彩補正でポップにもダークにもなるのは、スパイディの持つバッツ以上のポテンシャルだなぁと思う。

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地獄からの使者み

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 ちょっとここで脇道に逸れてもいいでしょうか。何度か出した「アーカム」という単語。改めていつかきちんとした文章にしたいと思うけれど、とりあえずここで少しだけ。バットマンアーカムシリーズ」は、オープンワールドを舞台にしたヒーローアクションゲーム。その三部作の最後になるPS4バットマン アーカムナイト」は、2015年発売だけれど、やっぱりオープンワールドスーパーヒーローものはここでひとつの完成を見ていると思う。さらにそこからマベスパが出てきたことは本当に嬉しいことだし、サブミッションがややルーティンなアーカムシリーズに比べて、マベスパは良いバランスで作りこまれていて楽しかった。

 アーカムシリーズは一作目で既にヴィランズお祭り状態だったけれど、そこからちゃんと続き物として二作目に突入して、なんとそこでジョーカーが死ぬんです。三作目はジョーカーの火葬から始まる衝撃の展開なんだけれど、しかしジョーカーは最終作でもメインキャラを張ることになる。どういうことかというと、スケアクロウに見せられた幻覚としてバットマンの眼前に現れ、彼を苛み続けるのです。ジョーカーの呪縛は解けないというわけ。三作目の面白い部分は常にジョーカーと行動を共にするというところで、バットマンの写し鏡に他ならないジョーカーが常に対比として隣に在るというのは一言で最高だと、「お前、〝理解〟ッてんな!」と、声高に叫びたくなる。しかもゲーム内では(プレイヤーにとって)実像として現れるから、スクリーンショットを撮るのがめちゃくちゃ楽しい!(そこ?)ゴッサムシティという、マベスパのNYに比べたらそれはもうダークでファンタジックな造りの街を背景にツーショットを撮影するのがたまらない。

 三作目のラスボスがスケアクロウというのも絶妙で、彼自身は結構小者だと思うんだけれど、「ジョーカーや自身のトラウマ(=バットマンになるきっかけ)の幻覚を見せ続ける」という一点において、やっぱりラスボスに相応しいなとも思う(マベスパにおいて、スコーピオンがちょっとだけ幻覚バトルを担当してくれるんだけど、どうせなら怪獣サイズになった彼と戦いたかったなぁと、スケアクロウを思い出しながら)。

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尊い……尊くない?

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 ゲームはキングピンことフィスクと対峙するところから始まるんだけれど、チュートリアルも兼ねた彼との戦闘が、正直一番難しかったように思う。アクションが意外とシビアで、こういう類いのゲームをやったことなかったりする人にはやっぱり苦痛なのかもしれないな……と、アマゾンレビューの酷評を目にして思った(なんというか、まぁ、鬱憤を晴らしたい気持ちは分かるんだけど、自分が上手くできなかったというだけのことを、まるでゲームの作りが悪いみたいな言い方で貶すのって、あんまりよくないよなぁと思う)。

 今作のMJ、めちゃくちゃバトルヒロインで(実際戦闘はしないけど)、隠密行動ガンガンこなしていくの有能すぎて好き。スタンガンぶっぱなす場面では笑ってしまった。可愛いし、ピーターとの距離感も絶妙で、ふたりのパートは思わずニヤけてしまった。ライミ版……とは?

 今作、15歳でスパイダーマンになってから8年が経っているという設定だけど、その間にグウェンとのあれそれはあったのかどうかはちょっと不明。15の時からキングピン相手にしているとか、恐れ知らず過ぎて驚嘆。というかピーター、確かに重い喪失と〝責任〟を抱える人間ではあるんだけど、同時に、人脈とか、才能とか、素晴らしいものをたくさん持っていて、まぁちょっと憧れる部分もあるよな、って。

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MJ 有能 素人にしてはなかなかすごい隠密だな

 今作のピーター、アンドリュー・ガーフィールドトム・ホランドを絶妙に混ぜたみたいな顔で、とある展開でのフェイスマスクから覗く顔はトビー・マグワイアっぽくて、なんというか、そこにすら製作者の愛を感じられた。蜘蛛糸で地下鉄を止める場面があったり、〝あの御大がカメオ出演〟したりと、様々なオマージュがところどころに効いているのも楽しい。収集アイテムにはレスリングのチラシやプロムの花、ミステリオやリザードサンドマンとの対峙を示すものがあって、本編外の奥行きが窺えてそれだけでワクワクする。

 とあるヴィラン達とは1対2の複数戦になる場面があるのだけど、ヴィラン同士の掛け合いを聞きながら戦闘するというのも、これまた今までにないアメコミゲーム体験で楽しかった。これも技術の進歩によってできるようになったんだろうと思うと感動的だ。 DCはやっぱりヒーロー、ヴィラン含めシリアス調なので、掛け合いのコミカルさを楽しむことってあんまりなかった(アーカムシリーズなんてまさに)。その点、待望のマーベルヒーローの本格アクションゲーム。まさに顧客が本当に求めていたもの。僕はバットマンが大好きなのだけど、彼の世界ではどうしても表現できない明るさがこっちにはあって、(もちろんピーターは悲哀を背負っていて、それでいて親愛なる隣人として笑うことを選んでいるからこそのエモさがあるんだけど)、その明るさにゲームで、自身がプレイヤーとなって触れられるのは本当に珠玉の体験だと思う。

 ネット上で、マベスパは実質アメスパ3だ、と言っている人がちらほらいて、そこに歓喜する気持ちはすごく解るし、それを前提としてプレイするこのゲームはより楽しいだろうなとも思う。アメスパ2の最後、戦い続けることを選んだ彼の〝その後〟はもうあえて描かれなくてもいいかなと思うくらい、あの終わり方は完璧な打ち切りのひとつだったと思うので、僕個人はあんまり3について想いを馳せることはないんだけれども。

 

 物語が終わった後だから当然仕方ないけど、クリア後にはMJからもユリからも急に何の通信も入ってこなくなって、JJJのラジオニュースだけが無限に再生されるだけなのは少しだけ寂しく、DLCが待ち遠しい。

 マーベル映画よろしくエンド・クレジットの後に挟まれたふたつのポスト・クレジットが、しかしDLCで解決されてしまうのは惜しいなと思うし、続編がきてほしいと強く思う。それこそアーカムシリーズばりに三部作やったりしないかなぁ。今回ラフトから脱獄したヴィランズ達とも、因縁強く戦いたかったし、それにまだまだいますよ、ヴェノム、カーネイジ、ミステリオ、サンドマン、それから……。

 まとめ。とても楽しめるゲームだった。ストーリーだけ追えば比較的短時間&丁度良い難易度で、手応えあるボス戦と、完成された物語を味わえるし、サイドコンテンツも含め文字通りNY中を余すことなく飛び回れば、SS含めずっと遊んでいられるゲームです。最後の闘いも、叫びながら拳を交え合うという、ベタだがめちゃくちゃアツい展開で、そこにプレイヤーとして同期できるのは、ゲームの素晴らしい所だと思う。エンディングでの「選択」シーンには泣かされてしまったし、そこには当然、他ならぬ自分自身がピーターとなってプレイしてきた分の感情移入もある。カジュアルにもやり込みにも対応した、時代の〝最新〟に相応しいゲームだと思う。きちんとフォトモードが用意され、お気に入りのSSを共有したくなるのも、現代的で良い。明日は君がヒーローだ。